2013年2月14日木曜日

赤い蛍 つかめ

日本田舎話 46

赤いホタル つかめ

めじろ話の途中、思い出したことがあるので記す)
初夏、 ホタルの出る頃。
晩飯を食い終わろうした。

懐中電灯を持って悪がき二人、「赤いホタルつかめにゐこて!!」
玄関ででかい声。
赤いホタルなどいるわけないのに親達は気にも留めない。
「遅くなるなー」と言うだけ。
五、六歩あるいて悪がき三人、大笑い。

どこの畑にイチゴが在るか昼間のうちに話し合っている。
獲り方までも入念に?話し合う。



イチゴ畑
後ろの栗の木が目印



途中、お寺に通じる100段は有る階段の下の農道を歩き始める。
右手には幅20cmくらいの水路がくねくねと田んぼの隙間を縫うように
流れている。
ここには当然本物のホタルがいる。
しかも一箇所に30匹以上もかたまっている場所もある。
そこだけがボーと明るいので遠くからでも分かる。
今思えば幻想的な光景だ。

タモ網などは持っていない、懐中電灯だけだ。
遠くから石を投げ、目的の場所を目指す。

右手に田んぼが広がりその向こうには人家が並ぶ、
左手はお寺の林、ここを抜けると左手に目的の畑が広がる。

大きな栗の木が目標だ。
手前にキュウリ、ナス、インゲンの畑が有る。
その向こうに畳み2枚分の赤いホタル畑。

この畑の周りはそっと歩き、荒らさないよう特に注意する。
赤いイチゴだけ、しかも全部は獲らない。
手が込んでいる、帰りがけ二つくらいは半分赤いイチゴに顔を近づけ
そこだけを齧る、半分は弦に付けたまま残してくる。
そう、動物のせいにするのだ。
これは採りに来る昼間に話し合っていたことだ。

帰り、かくし(ポケット)に入れたゐちごを食いながら歩く。
途中のホタルの塊を目掛け、又石を投げる。
最後のルールは、帰るまでには全部平らげ持ち帰らない。


悪知恵はここでも働く。


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