赤いホタル つかめ
(めじろの話の途中、思い出したことがあるので記す)
初夏、 ホタルの出る頃。
晩飯を食い終わろうした。
懐中電灯を持って悪がき二人、「赤いホタルつかめにゐこて!!」
玄関ででかい声。
赤いホタルなどいるわけないのに親達は気にも留めない。
「遅くなるなー」と言うだけ。
五、六歩あるいて悪がき三人、大笑い。
どこの畑にイチゴが在るか昼間のうちに話し合っている。
獲り方までも入念に?話し合う。
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イチゴ畑 後ろの栗の木が目印 |
途中、お寺に通じる100段は有る階段の下の農道を歩き始める。
右手には幅20cmくらいの水路がくねくねと田んぼの隙間を縫うように
流れている。
ここには当然本物のホタルがいる。
しかも一箇所に30匹以上もかたまっている場所もある。
そこだけがボーと明るいので遠くからでも分かる。
今思えば幻想的な光景だ。
タモ網などは持っていない、懐中電灯だけだ。
遠くから石を投げ、目的の場所を目指す。
右手に田んぼが広がりその向こうには人家が並ぶ、
左手はお寺の林、ここを抜けると左手に目的の畑が広がる。
大きな栗の木が目標だ。
手前にキュウリ、ナス、インゲンの畑が有る。
その向こうに畳み2枚分の赤いホタル畑。
この畑の周りはそっと歩き、荒らさないよう特に注意する。
赤いイチゴだけ、しかも全部は獲らない。
手が込んでいる、帰りがけ二つくらいは半分赤いイチゴに顔を近づけ
そこだけを齧る、半分は弦に付けたまま残してくる。
そう、動物のせいにするのだ。
これは採りに来る昼間に話し合っていたことだ。
帰り、かくし(ポケット)に入れたゐちごを食いながら歩く。
途中のホタルの塊を目掛け、又石を投げる。
最後のルールは、帰るまでには全部平らげ持ち帰らない。
悪知恵はここでも働く。
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