雪の墓 3
墓参りには子供が欠かせない。
朝早くから「早く墓参りに行こーよ!」娘が叫ぶ。
小学校に上がる前の話である。
「まだまだ」と返事。
もう「やかん」には水を入れ、お供え用の花、ダンゴ、お菓子、酒等
玄関の上がり框付近に用意してある。
子供達は空の紙袋をそれぞれ手に持ち、今かと構えている。
「まだまだ」と言ったのには訳がある。
早すぎても近所がまだ行ってないからである。
子供が彼岸に来なかった家庭では、お供えを墓に置いて帰る。
それを狙って他の子供達があちこちの墓を巡り、貰ってくる。
空の紙袋、ビニール袋が役に立つという仕組み。
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絵:年金酒場さん |
「由緒ある田舎」ではこの風習が残っていて、今も続いている。
内緒話
大人達が帰っても子供はあちこちの墓巡り。
暫らくして、「はい、おとうさんの分」と、缶ンビールとタバコを差し出してきた。
私までもがご相伴に預る。
「酒も有ったんだけど蓋が開いていたから、持ってこなかったー。」
蓋を開ける意味も分かるなだがー
んんーん 複雑な気持ちである。
追記、
二、三年前、都内近郊の墓地で「墓あらし」と新聞の記事。
この話を知っていたら、犯人?扱いした記事にはならないと思う。
わが子には手を合わせてから貰えと教えた。
この人も必ず手を合わせてから貰ったと思う。
墓に入っている人も喜ぶ。
そのままにしたらカラスか猫が増える。ハエが増える。
できたら、缶ジュース、酒、ビール等は蓋を開けないでそのままで。
墓の物は持って帰るなと言う風習も止めてもらいたい。
無くなっていたら、むしろ喜ぶべきである。
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