2012年8月23日木曜日

イワナ釣り 先生

私の先生 ④

イワナ釣り

釣りの先生   酒頭(さかあたま)先生 

とてもガッツがあり、酒を頭から飲むほど好きな方です。
”浴びるんじゃありません”頭のてっぺんに口が有るのです。

又、この人の親友、坂本先生曰く。
川釣り気違いで、東京で仕事をしていたが新潟の上越に婿に
行ったくらいなんだ。

春の連休、三人でお邪魔したことがあります。
「お前たちが来るから、昨日は耕運機にライトをつけて仕事をしていたよ、
近所で暗くなっても田植えをしているのは俺くらいだよ」

婿なのに囲炉裏の一番いい席に座り、かなり威張って座って、この話。

この先生、本業は別にあります。
”普段から本業も副業も仕事をきちんとしているからだなー、
連休の一番忙しいときに、翌日から2日間付き合ってもらえるんだなー”
と思った。

子供さんが、又かわいい女の子。「あととりが大変ですねー。」と、言ってみた。
そんなことはない俺みたないな、いい婿が又くればいい」 ”一同爆笑。”
奥で遠慮がちに座っていたじぃちゃんと、台所を手伝っていたばぁちゃんも
包丁持つ手を休め、思わず大笑い。

↑ EyesPicさんの作品


この先生にはいろいろ教えてもらった。
源頭放流用の岩魚(小さくてもよい)を釣りに行った時の事。

私がいくら竿を出しても釣れない。
見かねてこの先生、「竿をちょっと貸して」と、
竿を持ったと思ったら、ポイントごとに、次から次へと釣るのです。

なぜ私には釣れないのかと思った。
 足跡を見て「3時間くらい前に、先行者が来ているなー」と。
そうです、皆さんはもうご存知と思いますが、
先行者がいたら、まず釣りには成りません。

私は一番目の誰でも最初に振り込みそうなポイントに投入していたのです。
先行者のいる時は二番目のポイントを攻めることだそうです。

この先生の釣り、次のポイントでは違っていました。

「このポイントはデカイのが出るよ、やってみな」と。
当然、二番目のポイントへ慎重に竿を出すが釣れません。

一番目のポイントは上から木の枝と蔓が垂れ下がり、
そのちょっと右もいいのだが、蜘蛛の巣がびっしり。
誰も振り込めない状況。

でも、先生の竿裁きは違っていました。
餌の付いた針の部分を手に持ち引っ張り、
弧を描く竿先の反動で、真っすぐ一番目のポイントに飛ばしたのです。
枝と蔓の僅かな隙間に投入、すると再び竿は弧を描き、
大きなイワナが釣れてきたのです。私の目が丸くなります。

誰もがつり難い、一番ポイントは狙え。

又教わりまた。




 諦めることも勇気を教えてくれました。
ある時、水深は2m以上、幅が40mも有ろうか広い川、水はゴーゴーと流れている。
ここに直径80cm長さ20m位の大木が、、水面スレスレに横たわっています。

「あの木の上で釣ってみな、いいのが釣れるよ。」
  
雪解けの冷たい水、”落ちたら必ず死ぬ!”
木の近くまであと5m、足場が悪く木の根元に近づくことすら出来ません。

「だめです、無理です。」
途中で戻ってきた私に近づき「そうだ、諦める事も勇気だ」と、囁きました。

次に私の目は、今の”何これ!!”。の状態になりました。
左側のほぼ垂直の壁をスッ、スーと這い蹲り木の元へ。
それから木の先のほうへスタスタ。三分の二位のところに足を止め竿を出す。
凄い。まさしく神業である。

摑まる所は幹から出た一本の細い枝、こんな木の上で釣り始めた。
わずか15分くらいの間に、25~30cmの岩魚を5本も揚げた。
同じ場所でデカイのが何本も釣れること自体が不思議。
”普通はデカイのが一本、後は小さい20cm以下が一本釣れればいい。”
大概は、一本で終わる。

川下に居た私は仙人を見た。

あれから仕事がいき詰ると、強烈にこの言葉が頭をよぎる、”諦める事も勇気”。
以後、自分の裁量をわきまえてから、何事も判断をするようになった。


歌は最後までしっかり覚えてから歌え
あだ名のごとく酒の飲み方は半端じゃない。
その日のキャンプの夜、私もつられてかなり飲みました。
みんなが順番に歌いだす。

さて私の番。 
やっと覚えた「十日町小唄」一番だけ歌って、
火を囲み、みんなで輪になって踊った。(もちろん踊りはでたらめ)
2番目の歌詞がなかなか出てこない、
すると酒頭先生が3番まで手伝ってくれた。

歌い終わった、笑いながら火の回りに座る。

すると私に「この唄は新潟を代表するすばらしい唄だ!、
 せめて3番まで覚えてから歌え」。
「この曲はな、本当は今の東京音頭の予定だったのが、
当時の十日町市長が蹴飛ばし、今の十日町小唄を採用したんだ!」

帰ってから調べてみるとなるほどこの唄はすばらしい、
一番だけでは作詞者に申し訳ないと思った。(実際は18番くらいまであるのかな。)

同時に作曲者はあの中山晋平さんだった。
またまた教わった。

♪ ♪ ♪ 越後名物 かずかずあれど  あかしちじみに 雪の肌 
着たら離せぬ 味の良さ 
テモサッテモ ソウジャナイカ テモソウジャナイカー♪ ♪ ♪


翌朝、夜が明ける前から夕方まで釣りをし、
帰りには”こしひかり”を片手で持てないほど貰ったことを
今でもはっきりと思い出されます。



この酒頭先生に、まだ教わったことが有る。大きな川でのこと。
「岩魚はなぜか、オモリが好きなんだよなー」と小指の頭ほどあるオモリを
ワザとドボンと音をさせて振り込むことが有るのです。

そうかと思うと浅瀬の川では球浮きを付け、下にはテンカラ用の
毛ばりを付けて流すことも有りました。

この方の知り合いが、ある寺の住職でした。(次回)








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