2012年10月30日火曜日

ふくろう 鳩

不思議 疑問 ⑫

日本田舎話⑫

ふくろう 鳩

二階建ての竪穴式住居で育った家の一階の屋根に
鳩を5羽飼っていた。

ある時、この鳩を飛ばし、朝の訓練。
長い竹棒の先に赤い布の切れ端を結び、これを振る。
鳩は家の廻りを大きく旋回、暫らくすると戻ってくる。
たまには一羽くらい戻ってこない鳩もいた。

ところが逆に白い鳩を連れ戻ってきた時がある。
白い鳩は珍しい!、欲しかった。

鳩小屋に戻った鳩と一羽だけポツンと離れている白い鳩。

仕方が無い、新人なのだから。
でも一週間しても一緒に餌を食わない、遠慮しているのか。
かわいそうに思えてきた。

足環を調べた。
新発田から飛んできていたのだ。

じ曰く、「新発田弁では話が通じない訳だ。ここの田舎弁と
あそこの言葉とでは、人でも解らないから鳩が解る訳が無い」。
「互いに英語でしゃべったほうが通じる」と言う。
大爆笑。
じとは、にアクセント。次男のことである、三男は
おじおじと言う、アクセントがない)

数ヵ月後、白い鳩は言葉が通じないせいか、
居心地が悪いのか居なくなった。
きっと我が家に帰ったのだろう。










3月ごろ雪が続いた、ある晴れ上がった朝。
なぜか鳩が静かである、一羽足りない。
小屋をよく見ると下のえさ箱の隣に、胸から上がない鳩が死んでいる。

ねこに殺られたか! 
でも足跡が無い。猫もいない。ミステリーである。

数日後、また一羽殺られた、頭だけが無い。
謎は深まるばかり。 やはり足跡がない。

又数日後、
鳩が鳴いていない、様子がおかしい。
直ぐに小屋を見に行った。

犯人が解った。

こいつだったら足跡を残さないわけだ。
フクロウが堂々と真ん中いた。下の方では殺られた鳩が一羽。
残りの二羽の鳩は怖がり、隅の方でじっと寄り添っていた。

前二回は、タラップから入りタラップから出て行ったものだと感心した。
このフクロウを鳩小屋から出すのが又一苦労。


隣のあんにゃに頼み、フクロウを捕まえる作戦。
まず、鳩を放す。
斜めに成った屋根の上、足場が悪い。
落ちても雪の上だから大丈夫なのだがトタン屋根は滑る。

麻袋を用意し、隣のあんにゃは軍手をした。
一坪くらいの鳩小屋の入り口から半身になり腰まで入った。
いきなり首根っこを捕まえた。
これが悪かった。
フクロウは嘴が鋭い、首が180度以上廻るから
首を捕まえれば何とか成ると思ったらしい。

これが逆目に出た。

怖いのはもう一つの武器、足の爪だった。
鷲と違い、フクロウの足は前に二本後ろに二本の四本指。
これがあんにゃの左の手の甲を掴んだのだ。
「痛い」と叫んだがもう遅い。手の甲に二本、掌に二本
それぞれ反対の爪が出ているのだ。軍手なんか何も役に立たない。

これからが大変、これを外そうとした時
今度は逆の右手を同じように掴まれた。
あんにゃは外そうにも身動きがとれない、でも首根っこも外せない。
じっと我慢。まだ血は、さほど流れていないが痛そう。

小屋の金網を破り、三人がかりで何とかフクロウの爪一本ずつ外した。
軍手は直ぐに真っ赤に染まった。
ここまでは良く覚えている。
その後、どうして麻袋に入れたかあまり記憶に無い。

あんにゃ、郵便屋さんをしていた。
両手を包帯で巻き、やっと動く指で翌日も休まず配達をしていた。
これは記憶に有る。

このフクロウ飼うことになった。
雪解けが始まったばかり餌が無い。
田んぼの湧き水の出ている所を探し、穴の開いている泥に
鍬を入れるとドジョウが捕まった。
これを餌にした。

一階の土間に90cm四方の小屋を造りこれに入れて飼った。
一方だけ金網を張り、他は板で作ってある。
上側の一部を蓋にし、中には藁を入れた。

ニ、三日後、このフクロウがタマゴを生んでいたのだ。
二個有った。ピンポン玉位の大きさ、丸型。

タマゴが貴重な時期、おじおじはこれでタマゴ焼きを造ってもらい、
弁当入れて持っていった。旨かったといっていた。
白身より黄身が多い、白っぽい卵焼きだったと記憶している。

ここまでは本当の話。

注0001)写真は足成さんです。
注0002)話の内容と写真とは関係有りません。




これも思い出した。
親父の友達の話。
会社で、スズメの卵焼きを持ってきたのが居たそうだ。
七つ入れたが小さくて一口で食っちゃったよ。
これは本当の話なのか定かでないが、
七つ入れた、七つだけは脳裏に有る。


0 件のコメント: