2012年10月19日金曜日

鶏 ゲージ

不思議 疑問

日本田舎話⑨

鶏(とっと)

私の育った田舎では、その昔は農家しか鶏は居なかった。
よく、卵を近所の農家に買いに行くよう母親に頼まれた。
確か、1個12円だった記憶がある。今でもあまり変わらない。
籾殻と糞の付いた卵を10個、新聞紙に包んでもらい買ってきたものだ。

そのうち、ゲージで飼うのが流行り、我が家でも6羽飼い始めた。
木枠の棚を作り、その上にケージを載せただけの簡単な造りである。
床はコンクリートでフンはゲージの下を通して落ちる仕組み。

5×20cmのダンボール紙を各鶏のゲージ前に洗濯バサミでぶら下げられる。
これに正ちゃんマークで卵の産み具合を調べるのである。
生まなくなると、絞めて貴重な肉源となる。

鶏ケージ












父親が鶏を絞めるのを見ていたので小学校上がる頃には
私も出来るように成っていた。

冬、主にこの作業をしていた。
鶏の手足を藁縄で縛り、10cm角、長さ50cm位の角材を、固めた雪の上に置き、
鶏の首をこれに載せ、軽く撫でてやると鶏は催眠術に掛かったように静かに成り、
首を伸ばしたまま動かなくなる。
そうしたら、右手で鉈を持ち一気に振り降ろす。

直ぐに雪の中に首を突っ込む、暫らくする血が全て抜け静かになる。
一度、羽を縛らないで、手から離してしまったことがある、凄かった。
頭のないまま10mくらい飛んでしまったのだ。

さて、絞めている間やかんに湯を沸かし、これを羽の上から掛ける。
足を持ち、吊るしながら万遍なく掛ける。
すると羽が簡単に抜けるのである。

最後に残った細かい毛は、新聞紙を燃やしこれで焼く。

これからは台所で捌くのである。
まず、手足を外す。ここまでは簡単である。

一つだけ注意しなければ成らないことが有る。それは内臓を取り出す時に肛門の周り
に切れ目を入れて、一緒に切り離すのだ。
こうしないと、腸の中の糞が肉に付いてしまい臭くなるからだ。
ここまでくれば後は簡単に捌ける。

トリは食っていいがドリは食うなともいっていた、肺のことだと思う。
我が家では腸と肺は捨ていた。

砂肝と連なった卵の黄身は旨かった記憶が有る。
砂肝は半分に割ると中に食ったものが詰まっている、内側にシワシワの皮の様なものが有り、これは簡単に剥げるので、一緒に取り出せばいい。

ある時、「つくね」を作る話に成った。
東京の人は残った骨と肉を一緒に叩いて、団子にして食うという。
真似をして、角材の上に骨を置き、鉈の背の方で叩いて作ってみた。
叩き足りなかったのか、骨が硬くてとても食えたしろものではなかった。

骨で出汁を取り、やはりこの日のお昼もラーメンであった。
出汁を摂った後の骨に付いた肉をかじるのが子供の楽しみの一つだった。
首の骨が一番旨かった記憶がある。

話は変わるが、
台湾に行ったとき、鳥の足(指の部分)と鶏冠が屋台の焼き鳥屋?で売っていた。
試しに焼いてもらって、食ってみた。足は、何故こんなもを食うのか不思議だ。
食うところが無く足の指をしゃぶっている感覚、薄い皮だけの食感である。
鶏冠は切られると血の気が無くなるのか赤く無く、白っぽかった。
焼いてもらったが、これは珍味で旨かった。

ビックリしたのは蛙がバケツの中で泳いでいた。「これは」と聞くと、これも食うという。
試しに頼んでみた。殿様蛙のオスに似た蛙が二匹、油で炒められドンブリにスープ状にして出てきた。両手足をのばしスープに浮かんで出て来たのにはビックリした。
味は覚えていない。多分食わなかったのかも知れない。

どれも始めての体験だった。田舎では鶏冠と足はもちろん捨てていたし、蛙などはもちろん食わなかったからだ。

















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