2012年10月1日月曜日

アワビ 鮑

不思議 発見

岩魚釣りでの事

あわび 鮑

30年前のこの島でのこと。
いつもの宿に泊まり、二泊目はキャンプをすることに。
この宿の人、アワビを3個くれた。中の一つは、とにかくデッカイのだ。
手のひらを思いっきり開き、親指の先と薬指の先に合わせても
まだ余るほどの大きさである。

テントを張り終えたら風が強くなり、
キャンプを断念、結局宿に戻った。

アワビを入れたバケツの中が空っぽだ、
逃げ出した。
車の座席の下のあちこちでやっと見つけた。
水が無くても這い回ることが分かった。


宿の人も風が強いので心配してくれていた。
腹が減ったでしょうと、つまみを直ぐ見繕って出してくれた。
当然、あの大きなアワビも一個だけ捌いて、サシミにしてもらったが
二人でやっとで食った。東京だったら4人前はたっぷり有ったろう。

キャンプ用の肉をフライパンで炒めてもらい、晩飯にした。
ごはんは茶碗に半分しか食えなかった。

あれだけのアワビはあれ以来見ていない。


この宿は魚が捕れると大きさに関係なく出してくれる。
余るとお土産にくれる。
5人で行った時はトロ箱一杯の魚
全部持って行けと言う。
ヒラメが一尾づつ、後はウマズラとかメバル等等。
各人、持って行ったクーラーが一杯になる。
そうです、この時用に別にみんながクーラーをもって行くのです。

だが、60cmを超える大きなトラフグだけは誰も持って帰らなかった。

全てタダ。申し訳ないので3000円は置いてくると
ガソリン代が出ると喜んでくれるのだ。

毎朝、仕掛けた網を揚げるので捕った分は全て宿で使う。
余ると近所に配るのだそうだ。
面倒くさがりの宿のこと、市場に持っていくことなどしない。
それに一番の要因はこの家族全員、魚が嫌いなのだ。

この頃は、島の人はアワビは食わなかった。
小さい島の地域で「アワビに助けれられた」伝説があり、
これが影響しているようだ。
サザエは食うがアワビは食わなかった。
【船が浸水し沈没しそうになった時、アワビが穴を塞ぎ
助けてくれたそうだ。】
 

宿の人に、アワビは高級品なんですよと教えたほどだ。
それからちょくちょく出るようになった。
それも必ず一人一個づつ。

あるとき、肝はどうしたのかと聞くと全部捨てたという。
欲しいんなら今、あんにゃに捕ってきてもらうよ。
懐中電灯と、腰に沢山のオモリを付け、庭の海へ
40分くらいで戻ってきた。
あっという間にアワビとサザエがアルミの大きなボールに
山ほど。アワビは夜動く、だから簡単に捕れるのだそうだ。



直ぐに肝がどんぶりに二つ出てきた。
この中に、白い肝が有った、これもアワビかと聞くとそうだという。
食ったが素晴らしく旨い。まったく磯臭くない。

すき焼きのとき、最初に油身でフライパンをなぞる、
食い終わるとこの煮込んだ脂身だけが残る。
これを食べたときの食味、食感である。

帰ってきて、人に聞くと分かる人もいた。
すし屋の人なら分かるかも。
板前さんの間で、肝は出さないで自分で食ったちゃうと聞くが
この白い肝のことでないのか。

白い肝がオス緑色がメスと言う人もいた。
捕り尽したのか、年々小さくなり5年前頃から、
手のひらに小さく納まるようなアワビしか出てこなくなった。


この宿の食事の特徴。
初日は着いたとたん、お稲荷さんが出てくる、中身は餅米で出来ている。
地元では歓迎するご馳走なのだと思う。
ある時はおはぎのときも有った、これは旨かった。
自家製の取れたての小豆である。
でもこれを食っちゃうと晩飯が食えなくなるので夜食で食う。

醤油が違う、旨くない。地元では高い醤油なのであろうが甘い。
スーパー(農協)には普通の醤油が売っているのだが。
これも、もてなしなのであろう。
この宿は魚を食わないから分からないのだ。
以後、醤油だけは持参する。

あるときは、二人で3キロくらいの鯛の船盛りも用意してある、
当然食べきれない。隣の客に手伝ってもらう。

3日目は食いきれないほどの料理の他に、
「もうお客さん、魚は飽きたでしょう」と
「カレーライスがあるから、食べんしゃい」
別に、鍋いっぱいのカレーが出てくる。


この宿に親戚22人を連れて行ったことがある。
夏休みであった。時期が悪かった。
夏は海が凪ぎ、魚が捕れない。料理は最低だった。

それにめげず夜は宿から30mの海岸で盆踊り
この地域の盆踊りでは無い、カセットテープに
由緒ある田舎の音頭と用意周到。地元の人は何事が始まったかと
7、8人集まってきた。まことにバカ家族である。

翌日も海水浴、子供たちは喜ぶ。
宿で着替えたら直ぐ目の前が海だからだ。

二日目の夜は船盛を敢えて3つ頼んだ。

この島に行くなら8月は止めた方がいいと判った。

【今、この宿は休業している、高校生の孫が後を継ぐといっていた。
早く再開してもらいたい。この孫が生まれる前、貴方の親が結婚する前
から、多いときは年間7回も通っていたのですから。】



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